カヤレイ氏のヴァイオリンマスタークラスを聴講

先日、ハビブ・カヤレイ氏のヴァイオリンマスタークラスを聴講しました。
ボウイングのこと、ヴィブラートのこと、そして音楽や教育に対する哲学的なことなど、全てが素晴らしいレッスン内容でした。音を作ることの大切さを繰り返し強調されていました。

私はアレクサンダー・テクニークの学校で、他人のレッスンを見てその変化から学ぶことをずっと経験してきました。そんな影響もあり、マスタークラスで、素晴らしい先生の教えに導かれて才能あるヴァイオリニストがその場で変化していく様子を聴講するのは、本当に楽しいです。

カヤレイ氏は、最後に聴衆全員に向けて、「練習」について次のようなお話をされました。
練習で一番大切なのは、一音一音のサウンドがいつも美しいこと。
そうでないのにただ弾いていたら悪い音を学んでいることになってしまう。
あなたの一番の楽器は、(ヴァイオリンや弓ではなく)あなたの体です。
リラックスして、身体が機能するようにしてあげて、全身で音を表現する。
練習は作業(work)ではなく学びです。

まるでアレクサンダーレッスンのようだと思いました。というか、こういう考え方を実践する手法を練習するのが、アレクサンダー・テクニークともいえるのですが。

そして、カヤレイ氏の音は暖かく、余分なことを何もしていないボウイングに見えました。

それを見ながら、昨年自分がチェリストのヴィヴィアン・マッキー先生から受けたアレクサンダーレッスンを思い出しました。それは3分間だけのボウイング指導でしたが、私はそのとき「右腕は本当に何もしなくて良いんだ」と実感する体験をしました。
レベルは全然違うものの、そこで見たカヤレイ氏のボウイングは、そのときの体験のイメージとぴったり重なりました。

練習の大切さ、美しい音を探究することの大切さ。
余分なことをせず、必要な力を使うこと、そのためには全身のリラックス。
ヴァイオリンの奥深さをあらためて感じ、ずっと探究していきたいと思いました。

そしてアレクサンダー教師としては、演奏中に心身をどう使うかを探究するお手伝いを通して、演奏家の方々と出会っていきたいと思っています。

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