ヴァイオリン演奏時の筋肉活動

ヴァイオリンを弾くとき、どの筋肉がどれぐらい働くべきなのか、最近の計測技術による研究を探していたら、音楽科の高校生による文献を見つけました。高校生としては、かなりレベルの高い内容だと思いました。演奏でもコンクールなど実績のある方のようです。

この研究では、筋電計を用いて前腕・上腕などの筋肉活動を計測し、熟練者と非熟練者を比較しています。

開放弦の測定では、次のような結果が得られました。

【熟練者による開放弦ボーイング】
・数名測定、同じ傾向
・強い力を発する筋肉および場面はごく限られる
・アップボウでは上腕二頭筋に規則的な活動が見られる
・ダウンボウでは上腕の筋肉はほとんど使わず、上腕三頭筋も活動しない
・ダウンボウの弓先で、前腕の橈側手根屈筋を使う(弓先で弦に吸いつけるための動き)

【非熟練者による開放弦ボーイング】
・数名測定、筋肉の使い方が不規則、人により様々な傾向
 例えば、
 ・前腕の力み
 ・腕橈骨筋を使っている(弓を強く握る)
 ・上腕二頭筋を使っていない、または反応が不規則
 ・僧帽筋の緊張

参考文献:図3「開放弦ボウイング時の熟練者の各種筋肉の筋電位」より抜粋

この研究ではさらに、曲演奏時について、パガニーニ、バッハ、エルガーなどの技巧を要する部分を題材に、著者自身のデータをとっています。
開放弦では見られなかった現象としては、強い音や重音などパワーを要するケースで、僧帽筋や胸鎖乳骨筋に反応が見られたとの結果でした。
そして著者は、「首の筋肉の活動は、演奏のみならず心理状態や感情を強く反映しているのかもしれない」という考察をしています。

アレクサンダー・テクニークでは、首周りの筋肉に注目するので、興味深いデータでした。
演奏時に何かを表現したい欲求が強いとき、首周りを固めたくなる気持ちはよくわかります。
私も昔、アレクサンダーのレッスンで、「ここのフォルテッシモは固めないと弾けません!」と言ったこともあります。アレクサンダー・テクニークを学ぶにつれて、首を固めなくても強い音や表現が可能なことを経験してきました。

使っている筋力が、ちょうどいいのか、過剰なのか、足りない(必要な筋肉が使えていない)のか、自分の動きを見直してみるとおもしろいですね。
一緒に探究してみたい方は、アレクサンダー・テクニークのレッスンにいらして下さい。

[参考文献]
深津悠乃 「ヴァイオリン演奏において重要な筋肉とは?」,第6回 高校生バイオサミット in 鶴岡,2016, ヴァイオリン演奏を科学する http://harunoviolin.web.fc2.com/